留袖の衿を自分でベンジンでたたいてみたのですが、白っぽくなってしまいました。直りますか?

原因として、以下のことが考えられます。
①濃色加工剤が取れた。
②染料が取れた。
③力加減を間違えた。(スレの発生)

完全に直るとは断言できませんが、①、②はかなり目立たなくなると思います。③が一番厄介で、状態によっては、あまり綺麗には直りません。絹をはじめ、天然繊維のほとんどは、細い糸を撚り、一本の糸にしています。この細い糸が何らかの作用で部分的に切れ、毛羽立っている状態が「スレ」です。一度切れた糸は二度と元通りには直りません。「できるだけ目立たなくすること」が精一杯です。ただし、①~③のどの状態かは見てからでないと、どの程度直りかは申し上げにくいです。

①黒やその他の濃色の染色物には、色をさらに深く濃く見せる為に、「濃色加工」なる加工が施して有る商品があります。これがベンジン(揮発油)で取れた可能性があります。髪のつやを良くし、さらに黒く見せるためのリンスやコンディショナー、男性のポマードなどもこれに類する物で、ベンジンで濃色加工剤が落ちたということは、シャンプー(油・界面活性剤の一種)やお湯(水)などで洗い流せる事と同じです。

②通常の染色物は、水より油のほうが色落ちしにくいのですが、一部の染色物は揮発性の高いベンジン等でも色落ちすることがあります。また、油、水、摩擦、光など、色落ちする要因は色々ありますが、染料や生地によって堅牢度(けんろうど:染色の耐久性のこと)もさまざまです。自宅でシミ抜きをされる場合、必ず目立たない部分でテストをしてからにしましょう。

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