(1)上絵紋(黒紋)・刷り込み紋(色紋)
・上絵紋(黒紋)
紋の数:標準5つ紋
対象:【女性物】喪服・留袖・黒羽織 【男性物】黒紋付・石持付き黒祝い着など。地色が黒色で、紋を入れる場所があらかじめ白丸で空いている物のみ、黒色の墨やインクを使い紋を入れます。上記の白丸を石持ち(こくもち)といいます。
・刷り込み紋(色紋)
紋の数:男児5つ紋・女児1つ紋。女性物は1つ紋がおすすめ。
対象:祝い着(男児・女児)で石持ちが無いもの、抜き紋ができない商品
紋の輪郭や線は地色を残して白地を刷り込み、家紋を表現します。祝い着などは白地刷り込みの代わりに、お好みで金銀等も使うことも可能です。
(2)抜き紋
紋の数の指定を必ずお願いいたします。指定がない場合は1つ紋になります。
紋の数:1つ(略礼装)・3つ(準礼装)・5つ(第一礼装)
対象(女性物):色留袖・色無地・訪問着・江戸小紋ほか
状態:袖や胸に柄がある場合は、背中のみ入紋することをお勧めします。
縫い紋よりも格が高く、1つ紋なら準礼装、5つ紋なら第一礼装と、紋の数が多くになるにつれて格も高くなります。格が高くなると、着用する場が限られてくるので、紋の数や、抜き紋・縫い紋・紋なしのいずれにするか、よくお考えください。(こちらの「きもの豆知識」もご覧ください。)
(3)縫い紋
縫い方と糸色の指定を必ずお願いいたします。指定がない場合はケシ縫い・共薄になります。
紋の数:1つ
対象:石持ちが空いていない着物。略礼装やお洒落着にしたい着物。
縫い方:下記【縫い紋の種類】参照
<縫い糸の指定>
<1>共濃(ともこい)・・・紋の色を地色と同系色でかつ濃くします。
・薄い地色の着物で紋を目立たせたいとき、濃い地色の着物は逆に紋が目立なくなります。
<2>共色(ともいろ)・・・紋の色を地色とほぼ同色にします。一番控えめな目立たない色使いです。
<3>共薄(ともうす)・・・紋の色を地色と同系色でかつ薄くします。
・濃い地色の着物で紋を目立たせたいとき、薄い地色の着物は逆に紋が目立なくなります。
抜き紋より格が下がりますので、色無地や訪問着に入れると略礼装として着用できるといわれています。色使いを考えて小紋や紬着尺に縫い紋を入れて、お洒落着に着こなしても良いでしょう。金糸・銀糸を使うと、また違った感じの縫い紋になります。
(4)紋入替
対象:全商品
状態:黒紋・色紋・抜き紋・縫い紋など、現在の紋から異なる紋へ入れ替えたいとき。ただし、紋や周辺の生地の痛み具合などにより、加工できない場合もありますのでご相談ください。また、今入っている紋と、これから入れる紋の技法により価格は異なります。お見積もりの際は以下を参考にしてください。
・上絵紋(黒紋)入替・・・現在の黒紋(上絵紋)から異なる黒紋(上絵紋)へ入れ替える。
・抜き紋入替・・・現在の抜き紋から異なる抜き紋へ入れ替える。抜き紋を完全に消す(抜き紋が入ってなかったようにする)場合も抜き紋入替と同額になります。むしろこちらが技術的に非常に難しく、時間もかかります。
・紋解き・・・現在の縫い紋をはずす。さらに縫い紋や抜き紋を追加加工できます。
(5)元紋洗い
対象:喪服や留袖・男紋付などの上絵紋(黒紋)
状態:白地に黒色が色泣きした。紋の中が変色しているなど。
処理方法:色泣きや変色を漂白・しみぬき処理し、紋の線を修正します。又は汚れと一緒に紋を完全に落として、同じ紋を入れなおします。
(6)切り付け紋
対象:喪服や留袖・男紋付などの黒紋(上絵紋)
状態:紋の変色がひどく生地も痛んでいる為、紋入れ替えや元紋洗いができない。紋がやぶれた。など
処理方法:薄い白生地に黒紋(上絵紋)を入れ、紋の上に貼り付け、淵を糸でかがります。